調号のシャープとフラットは、どの音にかかるのか
調号のシャープやフラットは、同じ音名の音すべてに、どのオクターブでも、曲が終わるまでかかり続けます。 三つ。ショパンの夜想曲第2番 変ホ長調 op.9-2 は、最初の一音より先に、フラットが三つ立っています。8分の12拍子、Andante。その三つが、これから出てくる全部のシ、全部のミ、全部のラを、右手も左手も、最後の小節まで先に決めています。
フラットが三つ並ぶ
私はこの三つを、入口の貼り紙だと思っています。一度だけ貼ってあって、中にいるあいだは、読んだ人にも読まなかった人にも、そのまま効いています。
調号は、書かれる順番が決まっています。フラットは必ずシ・ミ・ラ・レ・ソ・ド・ファの順に増え、シャープはその逆で、ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シの順です。だから「フラット三つ」と書いてあれば、世界中のどの楽譜でもシ♭・ミ♭・ラ♭のことです。シャープが一つならファ♯で、ト長調がそれにあたります。
一度書けば、全部のオクターブにかかる
ト音記号の調号では、ミの♭は五線のいちばん上の間に書かれます。そこにいるのは、右手のわりと高いミです。それでも受け持つのは、ページのあらゆる高さのミです。左手のずっと低いミも、右手が上へ駆け上がったところのミも、まとめてそこに入ります。
op.9-2 の左手を見るとよくわかります。低い音から上へ大きく開いてまた戻る動きが続き、手をしっかり広げないと届きません。その底にあるミにも、ずっと上に書かれたあの一つのフラットが、そのまま効いています。右手では同じ旋律が三度帰ってきて、そのたびに飾りが増え、三度目には知っているはずの旋律が自分の装飾に埋もれます。その細かい音符にも、同じ三つがかかっています。
段が変わるたびに、左端に同じ三つがまた刷ってあります。あれは忘れないための刷り直しで、指示そのものは最初の一回きりです。五線の上の位置が教えてくれるのは音名までで、♭がつくかどうかは曲の頭の三つが決めています。位置そのものの読み方は譜読みの手順のページにあります。
臨時記号は小節の終わりで切れる
音を半音動かす記号は、もう一種類あります。音符のすぐ前に書かれるシャープやフラット、それにナチュラルです。こちらは、その場で一人に手渡されるメモです。
- 調号は曲の頭に一度だけ書かれて、その音名の音すべてに、どのオクターブでも、曲の終わりまで効きます。
- 臨時記号はその音符ひとつに付き、書かれた小節の終わりまで効きます。小節線をまたいだ先へは持って行けません。
ナチュラルも臨時記号の一つで、調号で♭のついているミの前に書いてあれば、その小節のあいだだけ♭が外れます。小節線を越えれば、また調号どおりのミ♭に戻ります。
私はこの二つを、長いこと同じものだと思っていました。一段目はちゃんと♭で弾けているのに、三段目あたりでいつのまにか♭が抜けていて、自分では気づきません。かかっているはずの♭を外して弾くこともあれば、切れているはずの♭を次の小節まで引きずることもあります。どちらも、音符の位置は正しく読めているのに起きます。
『変ホ長調』のホは、ミのこと
表紙にも手がかりがあります。「変ホ長調」の「ホ」は、ハニホヘトイロと数えていく音名のホで、ドレミで言えばミにあたります。頭の「変」はフラットです。つまり表紙は、ミ♭を土台にした長調だと最初から書いてくれていて、そのことばと鍵盤の場所がここで結びつきます。
調号がついても、音の呼び名は同じです。変ホ長調の中でも、あの音はミで、そのミに♭がつきます。私たちのドレミは固定ドで、鍵盤の場所につけた名前だからです。指はミの左どなりの黒鍵に行き、鳴る音が半音下がります。
新しい曲を開いたら、弾き出す前に調号を声に出して読んでしまうのが早いです。「フラット三つ、シとミとラは全部♭」。それだけで十秒ほどです。同じ読み上げは、ひとりで練習するときの確かめ方としても使えます。ページのてっぺんに立っている三つは、そこで読み終わります。最初の一音を弾くころには、シとミとラは♭のついた名前で頭に入っています。
書いたのはiOSアプリNotaluneの作者です。忘れた音符ひとつで練習が止まらないように作りました。手持ちの楽譜を撮影すると、音符の上に音名が出ます。Notaluneは写真から調号も読み取ります。うまく読めないときは自分で調を指定できるので、変ホ長調のページならどのミにも♭のついた名前が並びます。 自信が持てないときは、推測せず空白のままにします。ひとりで読みたくなったら、ワンタップですべての音名を隠せます。ほかのガイドは学ぶにあります · ご質問はsupport@notalune.comまで。