楽譜の読み方を学ぶ
楽譜を前にしたときに本当に出てくる疑問に、短く答えるガイドです。書いているのは、大人になってから鍵盤に戻り、音名の表を譜面台に立てていた人間です。
- 楽譜を読めるようになるには
譜読みで効くのは、覚える量よりも覚える順番です。暗闇でも見つけられる音を三つ作り、その隣を覚え、あとは音と音の距離で読む。ブルクミュラーの「アラベスク」の書き出しの二小節で、その読み方を実際にやってみます。 - 音名はどうすれば覚えられるのか
日本語には音名の覚え歌がありません。その代わりに誰もが通る「ドから数える」習慣がいつ消えるのか、そして音名が思い出すものから見えるものに変わるまでを、「エリーゼのために」の一ページ目でたどります。 - 覚えたはずの音符を、また忘れてしまいます。普通のことですか。
先週読めた音符が、今週は出てこない。忘れたこと自体は、たいして困りません。高くつくのはそのあとの二つです。そこで手を止めることと、確かめないまま当てて弾き続けること。 - ヘ音記号はなぜ読みにくいのか
五線の同じ線が、ト音記号とヘ音記号では別の音を指します。読みにくさの正体は、先に覚えた地図がまだ働いていることと、左手にはそもそも読む回数が回ってこないことです。 - 加線はどう読むのか
加線は五線の続きで、読み方は五線の中と同じです。それでも読みにくいのは、線一本が音符一つ分の幅しかなく、目を置ける面がどこにもないからです。 - 調号のシャープとフラットは、どの音にかかるのか
曲の頭に並ぶ♭や♯は、同じ音名の音すべてに、どのオクターブでも、最後の小節までかかり続けます。ショパンの夜想曲第2番のフラット三つを例に、調号がどこまで効いて、臨時記号がどこで切れるのかを書きました。 - 楽譜が読めるようになるまで、どのくらいかかりますか
正直な数字はありません。「読める」には終点が三つあって、教本の番号が測っているのはそのどれでもないからです。期限の代わりに何を見ておけるかを、クレメンティのソナチネと二つの研究から書きました。 - 二十年ぶりのピアノ、譜読みはどこから始めるか
手はだいたいの位置を覚えているのに、音名だけが出てこない。二十年ぶりに鍵盤の前に座った人が、最初の三週間に何を開けばいいのか。 - ピアノを弾くのに譜読みは必要ですか
いりません。耳で探して弾く人も、コードだけで長く仕事をしている人もいます。譜読みが渡してくれるのはひとつ、ほしい曲が紙の上にしかない日に、誰も待たずにそこへ行けることです。 - 一人で練習していて、音名が合っているかどうか確かめるには
間違った音名は、正しい音名とまったく同じ強さで手に定着します。声に出して名前を言い、確かめ、隠してもう一度読む。先生がいない部屋で、その確認を練習そのものに組み込むやり方。 - 楽譜を撮ると音名を書いてくれるアプリはありますか。
印刷された楽譜を撮ると、Notalune(iOS)が音符の上に音名を重ねます。漢字のふりがなと同じで、消すために付けるものです。確信が持てない音符は空白のままにします。買い切りで¥1,500。